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ハングルの歴史について

韓国語を書き表す文字であるハングルは、朝鮮王朝4代王・世宗(セジョン)によって1443年に考案され、1446年に『訓民正音(フンミンジョンウム)』として公布された。それまでの朝鮮半島には固有の文字がなく、全て漢文によって文章を書き表していたが、これでは固有の語を表現することができず、何よりも一般庶民には難しいものだった。そのため世宗(セジョン)は、一般庶民でも覚えやすい、発音をもとにした固有の文字体系を開発した。字形も、舌や口など発音器官の形状をかたどり、それを組み合わせて文字を形成するなど、「世界で最も合理的な文字」といわれている。"ハングル"という名称は近代になって作られた名称で、成立当初は"訓民正音(フンミンジョンウム)"と名付けられた。しかし、文字の読み書きができるというのは、支配者階級が民を統治するための手段そのものであり、支配者階級だけに許された特権であった。また、中国を宗主国と仰いでいた当時の朝鮮社会において、固有文字の使用は受け入れがたいことで、激しい抵抗運動も起こった。ハングル公布後も、"諺文(オンムン)(卑俗な文字)""アムクル(女の文字)"などと呼ばれて上流階級の女性の日用や、子どもの学習などの狭い範囲での使用にとどまり、公式文書には相変わらず漢文が使われ続けた。

用語解説
議政府

行政全体を統括する朝鮮時代の最高機関。最高官の領議政(ヨンイジョン)を筆頭に、左議政(チャイジョン)、右議政(ウイジョン)の3名を中核とする。

鄭道伝

太祖イ・ソンゲ(李成桂)の右腕として朝鮮王朝の建国に活躍した政治家。儒学者主導の政治を唱えたため、強固な王権を目指すイ・バンウォン(後の3代王・太宗)と対立、1398年に殺害された。"密本"は架空の組織。

内禁衛

国王の親衛隊。武芸に特に優れた者で組織された。

兼司僕

精鋭騎兵を中心とした親衛軍で、国王の身辺警護や王宮警備に当たる。

義禁府

王命に基づいて主に政治犯などの逮捕や取り調べを行った官庁。

集賢殿

王直属の学問研究機関。1420年、世宗によって直属の人材養成機関として整備・拡張 された。